自分が若い頃、よく聞いたり、口ずさんだりしていた歌を、何かの折に耳にすると、突然その時代の自分にタイムスリップしたような感覚に陥る。
頭の中に映るのは、あの頃の自分。教室の中や友人たちの様子。そして、苦い思い出。
同じように、人には人の『思い出の曲』、というのがあると思う。
少し前になるが、夜遅くに、たまたまテレビをつけたら、そこに『財津和夫』が出ていた。『チューリップ』のリーダー。
彼の特集番組だった。
財津和夫、TULIPラストツアーに密着したNHK特番オンエア 困難と闘い続けた4年間を記録 - Real Sound|リアルサウンド
その中で、『心の旅』という曲が流れてきた。
歌を聞いた瞬間、込み上げてくるものがあった。
あの歌を覚えたのが、流行した時分ではなく、誰かが学祭でやったのか、はたまたテレビかラジオでよく聞いたのか、定かでないのだけれど…。
あれは二十年以上前だったか。
中学の同窓会の二次会のカラオケで、最後にみんなで歌ったのが、『心の旅』だった。
一次会では、久しぶりにマウント仕掛けてくるヤなヤツも居たし、出席したのは、それが最初で最後だったけれど、その時のシーンがフラッシュバックした。
二次会に行ったのは、気心の知れた男女十数人。
別に、私達が在学中に一緒に聞いた曲でもないのに、何故だかみんな、歌いながら涙ぐんでいた。
かく言う私も……。
そういう曲。
その時、歌いながら中学時代に思いを馳せた。
あの頃は、お互い、ただの中学生…だった。
今から考えれば、個性あれども、みな同じ中学生。
それなのにそこから人生は、どうしてこんなにも、変わってしまったんだろう。
もし人生をやり直せるとしたら、この頃から…にしようか?
などと考えてみる。
でもそうしたら、今の息子は生まれていないかもしれない。
それならいいや、今の人生で…。
この人生でいいよ…と思う。