Sapphiresan's blog

人生は楽しむべきもの

映画『ウェスト・サイド・ストーリー』を観て…

1961年版の映画『ウェスト・サイド物語』を観た人間として、リメイク版『ウェスト・サイド・ストーリー』を是非、観ておかなければ……という、半ば義務感もあって、映画館に足を運んだ。

1961年版を観たのは、公開されて10年以上経った頃だと思うが、リバイバルとして地元市内の映画館での上映があった時、おませな同級生に誘われて行ったと記憶している。

はっきりとは覚えていないけれど、その頃の私はまだ同級生よりはるかに幼く、赤ちゃんがどこから来るのかも、知りはしなかった。

そんな、まだ愛とは何たるものか、などまるで解っていない自分に映画が与えたインパクトは強烈。

マリア役のナタリー・ウッドが美しく、トニー役のリチャード・ベイマーはキュートだった。特にマリアの兄、ベルナルド役のジョージ・チャキリスがカッコよかった!!

チャキリスら男達が、まっすぐに高く脚を上げて踊るシーンは素晴らしく、それが有名なポスターになった。

また、指を鳴らしながら踊るシーンが印象に残り、映画を見終わって家に帰った後も、真似をしてひとり踊ってみたり、『トウナイト』のメロディを口ずさんだりしたものだった。

自分自身50年近く前に観た映画だから、記憶違いもあるかもしれない。

リメイク版には何も、先入観を持たずに観てみよう、そう意識して映画館に行った。

そして、『ウェスト・サイド・ストーリー』を観たあと、エンドロールが終わり切らないうちに、私は静かに出て行った。いつもは最後まで居るのだが。

 

直後の感想は、「名作は、そのままで良い」だった。

 

スティーヴン・スピルバーグ監督の、1961年版『ウェスト・サイド物語』への敬愛が感じられたのは、設定に大きな現代的変化を、無理に入れ込まなかったところかもしれない。

ただし、ジェッツに入りたくて仕方ないという、トランスジェンダーらしき女性が出て来た事以外は…。

マリアの兄ベルナルドや、恋人のアニータのダンスも情熱的で、ストリートでの群舞も圧巻だった。

うん、確かにダンスも歌も素晴らしかったんだけどね、私が最初から違和感を持っていたのは、実はトニー役の俳優、アンセル・エルゴート

ベイビー・ドライバー』を観てファンになった人には悪いけど、可愛らしくて小柄な、マリア役のレイチェル・ゼグラーとは雰囲気が合わない感じが拭えなかった。

これは私の好みによる個人的な見方だけれど…、ダンスパーティーのシーンで、なんか世間知らずな大学生、みたいな顔のトニーが、マリアにほんとに一目惚れしたの?ってゆう感じで、少しも共感できなかった。

マリアの『トウナイト』は高音も伸びて聞き惚れたけど、トニーの歌声は、もうちょっとボイストレーニングした方が良かったんじゃ?という印象。

ただ、1961年版の『ウェスト・サイド物語』では、歌は吹き替えだったらしい。でもこの時の映画はやはり凄かった!

10部門でアカデミー賞を獲得。マリアの兄、ベルナルド役のジョージ・チャキリスがアカデミー助演男優賞を、その恋人アニータ役のリタ・モレノ(今回のリメイク版にも出演)がアカデミー助演女優賞に輝いた。

映画の中で歌われる、「トウナイト」や、「マリア」などの曲のアルバムも空前の売り上げだったらしい。

この最初の映画が公開された頃は、アメリカの事はよく知らないが、日本ではカラーテレビの放送が開始されたばかりで、一般家庭ではまだ多くが白黒テレビの時代だった。

第二次大戦後15~16年のそんな時代だからこそ、移民同士の争いもリアルな問題であっただろうし、純愛に共感し、情熱的なダンスと歌声に、多くの人々が魅了されたのだと思うのである。

だから、もう過去の名作は、そのままでいい。

時代に合っていたからこそ、大ヒットしたのだ。

私は、これを書くために朝から映画の事を考えていたら、つい「トウナイト」を口ずさんでしまっていた。

歌詞は覚えていないから、やたらサビの部分、「トウ~ナイ~トウナイ」のところばかりひたすら口をついて出てくる。

結局、夜寝る時まで口ずさんでいた。

朝出た歌は止まらん!のである。