Sapphiresan's blog

人生は楽しむべきもの

私の事件簿

最近は、性加害や虐待のニュースが多い。

 

ずっと昔に近所で起こった、怖い話を思い出してしまう。

 

長い話で、重い話になるかもしれないので、引いてしまう方はスルーしてください!

 

私が昔、住んでいた家の近所の家に、Aという子が居た。

そのAが小学生の時に、誘拐されそうになったという話。

 

近所では、今後のためにという事で、この一件を親同士で情報共有した。

 

ただ本人は、身体的に傷つけられたりは、しなかったし公の事件にもならなかったので、ご安心を!

 

以下、Aが小学校の三年生か四年生くらいの頃の出来事。何年生の時だったか、はっきりとは覚えていない。

 

当時Aは、ある塾に通っていた。

何十年も前の事で、塾と言っても元教師の女性が、家庭の一室で主婦業の傍らに数人の子供の勉強を見てくれる、というもの。

 

自宅からは、たぶん1キロか、1.5キロくらいの距離だったか、とにかくAは、一人で歩いて通っていた。

 

自宅は住宅街の中にあるが、それを出たら、両側に家がパラパラと建っている、一本道を通る。

家が建っていない所は、田畑である。

その道の突き当たりに、別のひと固まりの住宅街があり、その中ほどに塾があった。

 

その塾からの、ある日の帰り道。

その日は時刻はよく覚えていないが、もう日が暮れて、街灯に電気が点いていたのは覚えていると。

 

Aは、早く家に帰ろうと、いつものように一人でテクテク歩いていた。

すると、後ろから車が来る音がしたので、道路の端に寄って身体を横向きにし、車をやり過ごそうとした。

幅の狭い道路で、車同士も対向できない。

しかし、やり過ごそうとした車は、ソロソロと近づき、Aの横に来て停まった。

黄色いタクシーだった。

運転手の男が降りて来て、Aに話しかける。

「お嬢ちゃん、ちょっと道を教えてくれないかな?」

Aは、黙って身構えた。

「◯◯さん、というお宅に来ている、Mさんというお客さんに呼ばれたんだけど、◯◯さんのお宅へ行く道が判らないんだ」

Aは、「◯◯さん」と言われて、反射的に反応してしまった!

「あ、私の家!」と…

運転手の男は嬉しそうな顔をして「あ、それじゃあ丁度いいから、車に一緒に乗って教えてよ」

Aは、「しまった!」と思ったが遅い。

でも、この車に乗ってはいけない事だけは、わかっていた。

でも、身体が動かない!声も出ない!

 

救いだったのは、ここが住宅街の真ん中だった事。

Aの頭のすぐ横には塀があるが、その中の家の窓からは明かりが見える。

反対側にも家が数軒あり、電灯がついていたので、声を上げれば誰かが出てきたはず。

 

でもAは子供だったのだ!

恐怖で身体が硬直し、ただ男をジッとにらみつける事しかできなかった!

 

その運転手の男も、周りの状況から無理強いとか、拉致とかは無理だと判断したんだろう。

車に乗り込もうとしないAを見て、「チッ!」と舌打ちすると、あきらめたのか車に乗り、行ってしまった。

その時、タクシー会社の名前だけは見ていたが、ナンバーまでは覚えていなかった。

 

ドキドキと震えが止まらないまま、Aは必死で家まで走って帰った。

帰るなり母親に、こんな事があったと話したら、母親は激怒した!

「この家に、Mさんなんてお客は来てないし、タクシーなんか呼んでない!」

やっぱり、あの男の話は、ウソだったのだ!

 

当時のAの家は、母親が商店を営んでおり、来店客にタクシーを呼んでくれと頼まれる事がよくあった。

それで、隣町にある二つのタクシー会社のどちらかに、電話をかけてあげたりしていた。

Aが、この日見たタクシー会社が、その内のひとつだったのだ。

 

激怒した母親は、すぐさま、そのタクシー会社に電話した。

 

「かくかくしかじかで、この時刻にここを通ったタクシーの運転手を出せ!」

と母親が迫ったが、電話に出た人は「そんな人は居ない」とか「そこら辺を通った車は無い」などと、のたまった。

 

Aは「自分が車のナンバーを見ておけば、覚えておけば良かったのに…」と悔やんだ。

 

現代のようなGPSも付いて無かっただろうし、これ以上追求のしようも無い。目撃者も居ないだろう。

 

母親は「もう次から、お前んとこのタクシーは呼ばないからな!」と怒鳴りつけて電話を切った。

 

警察に連絡したかどうかは、よく知らない。

 

Aは、それからしばらく塾を休んだ後、明るい時間帯に変えてもらい、また通うようになったと聞いた。

でもAは、それ以降、大人の男性を怖がるようになってしまったという。

心の傷は、いわゆる「トラウマ」となって、Aを苦しめる事になったのかもしれない。

 

 

私は子供の頃から、チョコレートが好きだ。

いきなり話が、それるようだが、そうではなくて…

 

幼い頃から両親に「知らない人から『チョコレートをあげるからおいで』って言われても、絶対に付いて行ったらダメだよ」と、口を酸っぱくするほど言われてきた。

誘拐されるとか、変質者が居るから、とか脅されるみたいに(?)教育されてきた。

でも、このケースのように言われる事もあるのだな、と自分もその時、怖くなった。

 

子供なんだ。臨機応変に自分で判断するなんて、できない。

厳しく育てられた子どもの方が、大人しいから意外と弱いかもしれない。

普段から言いたい事を言って、活発に育ってる子の方が、嫌なことは「イヤ」だとハッキリ口に出せるのだ。

 

普段から抑圧されている子供は、内に何でも抱え込んでしまい、思っている事を口に出せなくなってしまう。

 

自分のひとり親としての子育てだって、自慢できるものでは全然ないが、息子が小さい頃から中学生になっても、塾などへは出来るだけ、車で送り迎えをしてきた。

自分で通えない距離では無かったが、これは正解だったと思っている。

 

子どもは、親が守らなければ、誰が守ってやれる?

 

 

Aの現況は知る由も無いが…

誰か、聞いて来てくれないかな?

そして、教えて欲しい。

 

「Aは大人になってから、幸せな結婚をしましたよ」と…

 

 

 

 

※タクシー運転手の中には、親切な良い方もたくさんいらっしゃいます。全てのタクシー運転手の事を否定するものでは無い事を、申し添えておきます。