季節外れに暖かい日。
穏やかに晴れた空を眺めながら、買物に出ようと車に乗り込む。
家のそばの最初のカドを曲がって、前方に目をやると、犬を連れた人が居た。
お散歩なんだろう、よく見かける光景だ。
車が来たんだ、よけてくれるだろうな、道路の真ん中だもの。
クラクションは鳴らさない。
だけど、動かない。人も犬も固まっている。飼い主の女性は振り返りもしない。
少し進んで、やっと気がついた。
よく見ると、かわいいプードルの、そのワンちゃんは、なんと排便中(大)なのでございました!
まさに、「いきみ」の真っ最中!
その様子をジッと見守る飼い主の、微動だにしない背中に、「うちのワンコの排便を何としても完遂する!誰にも邪魔はさせない!」という強固な意志を、見てとった私。
仕方がないから、待ってよか?
だってワンちゃんだし、車に驚いて、もしかしてこの「いきみ」が引っ込んじゃったりしたら、後で体調悪くしちゃう子かもしれない。
それに、飼い主の方にしても、私の車のほうを見たり動いたりしたら、ワンちゃんの「その気」が失せてしまうと思って、じっとしているのじゃないか?
もしかして、数日ぶりにやっと訪れた「いきみ」だったら、心配していただろうし、飼い主も安心できる「チャンス」かもしれない。
なあ~んて事、色々想像してみたけど、ここの道路は普通車が対向できるくらいの幅がある。
幸い、前からも後ろからも、ほかの車が来る気配は無い。
そっと、そおーっとお二人(?)を大きくよけながら端に寄り、静かにゆっくりと追い越す感じで無事通り過ぎる事に成功した。
通り過ぎる瞬間、飼い主がチラッと横目でこちらを見た。
その目には、ちょっぴり申し訳なさそうな表情が見えた。